サクランヌと初仕事

翌朝、エリカとサクランヌは冒険者ギルドに来ていた。 2人がコンビを組んでの初仕事である。

「クエストの前にエリカちゃんのレベルを調べよう? 育ち盛りだしたくさん上がってると思う」

サクランヌに言われてギルドの検査器で調べると、エリカのレベルは前回の検査から4つ上がって8になっていた。

「ステータスはどんな感じ?」

「筋力と反応速度が105で器用さは90ってとこです。 魔力は15」

「うんうん、確かにランクB相当ね。 レベル8でこれかー。 エリカちゃんは異世界転生者なの?」

「はい」

サクランヌが自然に尋ねるので、エリカも自然に質問に答えてしまっていた。 しかしそのことに一抹の不安を覚えないわけではない。 転生者だと認めてしまって良かったのかしら?

「やっぱりかー。 転生者は転生時にフィートを2つ与えられるそうだけど、エリカちゃんもそうなの?」

エリカの不安をよそにサクランヌは尚も質問をしてきた。 答えて良いのかどうかを判断する材料も持たないまま、エリカはサクランヌの問いにコックリと頷いてしまう。 彼女は隠し事が苦手なのだ。

まだ質問が続くのかな? エリカは落ち着かない気持ちでいたが、サクランヌは質問欲が満たされたようで満足そうに微笑んでいる。 「やっぱり、そういうことだったのね」

しかし今度はエリカのほうに訊きたいことが出来た。

「あの、サクランヌさん」

「なあに?」

「この世界に転生者って私以外にもいるんですか?」

「何人か会ったことはあるよ。 でも今この町にはいないと思う。 エリカちゃん以外にはね。 さて、それじゃあ今日のクエストを見繕いに行こっか」



サクランヌが選んだ本日のクエストは盗賊団退治だった。

「ランクCのクエストだから、サクッとかたずけちゃおう」

サクランヌはそう言って依頼書を掲示板から剥がしてクエスト窓口へと持って行く。 窓口に座るギルド職員は若い男性だ。

依頼書を受け取った職員は内容を確認すると、エリカとサクランヌをじろじろと見て言う。

「このクエストをやろうっていうのかい? 君たち2人だけで? 盗賊団の明確な人数は不明だが、30人以上いるのは確実なんだよ?」

「2人だけで大丈夫だよぅ。 私はランクB冒険者なんだから」

「冒険者ランクを確認するからギルドカードを見せて」

職員に言われ、ギルドカードを提示するエリカとサクランヌ。

「たしかに君はランクBだね。 でも、そっちの子はランクFじゃないか。 君たち2人で盗賊団退治は無謀だ。クエストを与えることはできない」

職員にそう言われてサクランヌが憤慨する。

「バカにしないでっ! 盗賊団の数十人ぐらい私とエリカなら楽勝よ!」

サクランヌの怒声を聞きつけて、マヒュロが慌てて窓口へとやって来る。 マヒュロはエリカとも顔馴染みのギルド職員だ。

「すいませんね、サクランヌさん。 コイツは入ったばかりの新人でサクランヌさんの実力を知らないんですよ。 エリカちゃんの実力もね」

そしてマヒュロは新人職員に向き直り、サクランヌの実力について語る。

「このサクランヌさんはな、外見は可憐な少女だが『水使いサクランヌ』として知られる天才魔法使いにしてベテラン冒険者だ。 多人数相手の戦いを得意とするから、この盗賊団退治のクエストなんかにはうってつけなのさ」

「そういうこと。 さっさと出発したいから、クエスト受諾の手続きを進めてね?」

こうしてエリカとサクランヌは盗賊団退治へと出発した。

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